カンガルー駆除の規制緩和、異常旱魃で家畜と牧草奪い合いに 豪
(CNN) オーストラリア東部のニューサウスウェールズ(NSW)州は、雨がほとんど降らない天候が数カ月続いたことを受けて「100%旱魃(かんばつ)」宣言を出し、8日にはカンガルー駆除に関する規制の緩和を発表した。
7月の同州の降雨量は10ミリに満たず、観測史上5番目の旱魃を記録している。
この影響で畜牛などの餌となる牧草がほとんど生えず、畜産農家の餌不足が深刻化。大量のカンガルーが、家畜との間で餌や水を奪い合う状況に陥っている。
同州第1次産業局のブレア局長は、この状況をできるだけ早期に解決する必要があると述べ、「多くの農家は家畜を放牧場に放すのをやめているが、そうするとカンガルーがやって来て、残りをすべてさらっていく」と指摘した。
州の発表によると、新しい規定では、駆除できるカンガルーの頭数の上限を引き上げ、1つの免許の下で猟銃を使った駆除に携わることのできる人数を増やす。
メルボルン大学の最近の研究によると、今回の旱魃は過去400年で最悪となる可能性もある。
特に農家の打撃は大きく、穀物や水、飼料の不足が生計を圧迫。餌を食べさせられなくなってやむなく家畜を手放す農家も多い。畜産業の落ち込みが回復するまでには、何年もかかる可能性もある。
果樹園を伐採したり、農地を手放さざるを得なくなったりして、一切の世帯収入がなくなった家庭もあると現地のメディアは伝えている。