メルケル独首相、離脱案再交渉は「不可能」 メイ英首相と会談
ベルリン(CNN) 英国のメイ首相は11日、欧州連合(EU)と合意していた離脱案をめぐり、EU側の譲歩を求めてメルケル独首相らと会談した。メルケル氏は会談で、離脱案の再交渉は不可能との考えを示した。
会談後にメルケル氏から説明を受けた独議員らによると、離脱協定に添える拘束力のない政治宣言に手を加える余地はあるものの、協定自体の法的文書を見直すことはあり得ないという。
メイ氏は11日、英下院でEUとの合意案を採決にかける予定だった。しかし英領北アイルランドとEU加盟国アイルランドの国境に物理的な管理施設を設けないことを保証する「バックストップ」条項などに対する強い反発を受け、可決の見通しが立たないとして採決を延期。同日午前にオランダ・ハーグで同国のルッテ首相に会った後、ベルリンへ飛んでメルケル氏と会談した。
メイ氏はこの後、ブリュッセルでトゥスクEU大統領、ユンケル欧州委員長と会談。オーストリアのクルツ首相とも電話で会談した。12日にはアイルランドの首都ダブリンへ出向き、バラッカー首相と会うことになっている。
だがユンケル氏も会談に先立ち、「再交渉の余地は全くない」「すでに成立した合意が最善で唯一の合意だ」と強調した。
英議会では、与党・保守党議員らが党首であるメイ氏の不信任投票を行うとの情報が飛び交っている。メイ氏はこの件に関する記者の質問に答えず、今は離脱合意に集中していると述べた。
来年3月29日の離脱期限までに合意がまとまらず、「合意なき離脱」が現実になりかねないとの懸念から、英ポンドは10日に1.6%下落し、2年ぶりの安値を記録した。