ローマ法王フランシスコ、イスラム誕生の地で初のミサ
アラブ首長国連邦アブダビ(CNN) ローマ法王フランシスコは5日、アラブ首長国連邦(UAE)のアブダビでミサを行い、歴史的なUAE訪問を締めくくった。イスラム教誕生の地、アラビア半島でローマ法王がミサを行うのは初めて。
会場となったスポーツ競技場には、湾岸諸国では珍しい大きな十字架が掲げられ、10万人以上のカトリック信者らが集まった。
ミサの祈りはフランス語、タガログ語、ウルドゥー語、コンカニ語など6言語でささげられた。出席者の中にはイスラム教徒の姿もあった。参列者のうちスタジアムの中に入れたのは約4万5000人にとどまり、残りはスタジアム前に座ったり周辺に集まったりしていた。
UAEはイスラム教徒が国民の大多数を占めるものの、人口の約90%は外国人で、およそ120万人のキリスト教徒が含まれる。
この日は朝早くから、ローマ法王の姿を一目見ようと大勢の人がスタジアム周辺に詰めかけていた。
今回の訪問でフランシスコ法王は、長引くイエメンの内戦を非難するとともに、湾岸地域における宗教の自由を訴えた。UAEはサウジアラビア主導の有志連合に加わってイエメン内戦に関与している。法王は4日に開かれた会談でイエメン、シリア、イラク、リビアの内戦に言及し、世界の宗教指導者に対して戦争を拒絶するよう呼びかけた。
フランシスコ法王が伝統の装束に身を包んだアラブの指導者と並ぶ光景は、イスラム教とキリスト教の結びつきを象徴する姿と受け止められた。しかしUAEを「共存のモデルになろうとする地」と位置付けたフランシスコ法王の言葉について、人権団体からは、同国の反体制派に対する弾圧を理由に反発する声も上がっている。