医薬品も機材もない――暴動続くハイチ、病院が窮状に
「病院は10日間近くも包囲された。医師はデモ隊の中を通り抜けられず、医薬品を搬入することもできない。だが正直に言うと、この病院ではこれが普通だ。医薬品もなければ使用できる機器もない」とアンドレ医師は話す。
同医師によると、この2年あまりの間、医薬品や衣類や医療品は全て患者が自分で調達しなければならなくなっていた。
今、ほとんどの病室は無人になり、壊れた血圧測定器が廊下にぶら下がっている。
ICUに入院している46歳の男性患者は、両足がひどく腫れ上がって皮膚が裂けていた。ここには12月から入院しているといい、「ほかに行くところがない」「そうでなければとっくに出て行っている」とつぶやいた。
野党勢力は幅広いグループが今週もデモを呼びかけた。地元ラジオ局はデモ参加者の集合場所を伝えている。
暴動が小康状態になると、カナダ人観光客100人あまりは航空機で脱出した。しかし混乱や流血が続く中、ほかにも大勢の外国の援助団体関係者が孤立状態に置かれている。
ハイチのセアン首相は16日夜、テレビ演説で国民に平静を呼びかけ、汚職撲滅を約束した。
演説の中で首相は、ベネズエラからの石油を巡る不正流用疑惑に触れ、「腐敗は最大級の問題だ。我々は腐敗と戦う必要がある」と力説した。
もしも暴動やデモが収まれば、患者は病院に戻ることができるかもしれない。しかしそれでも医薬品や機材の不足は解決しない。