中国国営紙、天安門事件は「予防接種」 政変防いだ意義を強調
香港(CNN) 中国の国営紙、環球時報は3日、民主化を求めて集まった人々を軍が武力で鎮圧した天安門事件について、社会に対する「予防接種」だったとの見方を示した。これにより、その後の中国が「政治的な混乱」へと陥る事態を防ぐことができたとしている。
天安門広場で数週間にわたり続いていた民主化要求の抗議集会を軍が実力行使で終了させた事件から、4日で30年を迎えた。参加した学生や労働者らに兵士が発砲し、死者数は数百人とも、数千人とも言われている。
環球時報は3日付けの社説で、当時の政府の決断について、中国国内の「紛争」に終止符を打つとともに、「全国民に対し未来に目を向ける」ことを促したと指摘。「事件以降、中国は見事に世界2位の経済大国となり、国民の生活水準は急速に改善した。政策として論争を避けてきたことが、国内経済の急成長に寄与した」と述べた。
そのうえで「中国社会への予防接種として、天安門事件は今後も非常に高い免疫効果を発揮し、将来にわたりあらゆる政変を食い止めてくれるだろう」との認識を示した。
中国政府は長年の取り組みにより、天安門事件を国民全体の記憶から消し去ろうとしてきた。しかし毎年、事件の起きた6月4日が近づくと、武力行使という当時の決断を擁護する姿勢に回る。少なくとも国外向けにはそうした方針を採用している。
中国の魏鳳和(ウェイフォンホー)国務委員兼国防相は2日、シンガポールでの国際会議で演説し、当時の天安門広場での抗議行動を「政変であり、中央政府は抑え込む必要があった」と強調。混乱を止める「正しい政策だった」と述べた。