イスラエル首相、「イランにあった核施設」の画像公開
エルサレム(CNN) イスラエルのネタニヤフ首相は9日、イランが核開発に使っていた秘密施設とされる衛星画像を公開した。17日の総選挙に向けた政治宣伝との批判もある。
ネタニヤフ氏はエルサレムからのテレビ演説で、イラン中部イスファハン南郊のアバデ付近にあったという施設の画像を公開した。首相府の報道官がCNNに語ったところによると、施設は2003年、あるいはそれ以前から稼働していたとみられる。
ネタニヤフ氏によると、秘密施設の情報は、イスラエルの情報要員が昨年1月にイランで入手した核活動関連の資料に含まれていた。イランはイスラエルがアバデの施設を見つけたことに気付き、同施設の証拠を「破壊したか、少なくとも破壊しようとした」という。
ネタニヤフ氏は、同施設が解体される前と後の画像を示した。日付からみて、今年6月末か7月初めに破壊工作があったと推定される。
同氏は、これによってイランが核開発をめぐりうそをついているとの確信が強まったと主張。国際社会に向けて、イランを制止するためには圧力を強化するしかないと訴え、トランプ米政権による対イラン制裁への同調を呼び掛けた。
イランのザリフ外相はこれに対し、ネタニヤフ氏やトランプ政権は戦争を望んでいるとして反発を示し、核保有国であるイスラエルがイランの「解体済み核施設」について騒ぎ立てるのは偽善だと非難した。
イスラエル国内では野党指導者らが、総選挙直前のこの時期に画像を公開したネタニヤフ氏の意図に疑問を呈した。
核不拡散問題の専門家、ジェフリー・ルイス氏は、公開画像を見る限り、2015年にイランの核開発を制限する米欧などとの核合意が成立した後、同国がこの施設を使い続けていた形跡はみられないと指摘。合意違反の決定的証拠にはならないとの見方を示した。