シリア撤退の米軍、武器庫を空爆 武装勢力への流出阻止
ワシントン(CNN) 米空軍は16日、F15戦闘機2機を使ってシリアの米軍基地にある弾薬庫を空爆した。弾薬などの装備が武装勢力に渡るのを防ぐための措置。米国防当局者2人がCNNに明らかにした。
米軍率いる有志連合の報道官は同日発表した声明で、「事前に人員と戦術兵器を退避させたうえで、F15E戦闘機2機が計画に従って精密照準空爆を行い、弾薬を破壊して同施設の軍事的有用性を減退させることに成功した」と発表した。
米国防当局者によると、当時付近に他の部隊は存在していなかった。もし存在していれば、その部隊に対する攻撃と見なされる恐れもあり、弾薬庫の空爆は中止していた可能性があった。
トランプ大統領の命令を受けて米軍がシリア北部から撤退する中で、装備の破壊を余儀なくされる事態が明らかになったのは今回が初めて。
空爆が行われた米軍の施設は、トルコとの国境に近いラファージュ・セメント工場にある。同施設はそれまで、シリアの過激派組織「イラク・シリア・イスラム国(ISIS)」撲滅を目指す有志連合の本部として利用されていた。
有志連合の報道官は15日の時点で、トルコを後ろ盾とする武装組織がラファージュ・セメント工場に迫る中、クルド人主体の部隊「シリア民主軍(SDF)」は自分たちの施設と装備に火を放って退避したと述べていた。
米国防当局者が16日に明らかにしたところでは、シリア北部の米軍部隊は全拠点から撤退しており、北部の要衝アインアルアラブ(クルド名コバニ)近くの拠点に集結して、複数の米軍基地を残したまま、数週間かけてそこから空路で脱出する。