北朝鮮が制裁違反の輸出継続、核開発を推進 国連報告書
ニューヨーク(CNN) 北朝鮮が弾道ミサイルや核兵器開発を加速させる目的で、石炭などの物資数百万トンを昨年、不正に輸出したとする非公開の年次報告書を、このほど国連の専門家パネルがまとめた。
報告書は国連に任命されて対北朝鮮制裁の実施状況や実効性を監視している独立系の専門家パネルがまとめたもので、まだ公開されていない。
報告書では、北朝鮮が昨年、国連安全保障理事会の制裁に違反して兵器の開発を続けたと述べ、兵器を開発するための部品や技術は国外から不正に調達したと結論付けた。
北朝鮮の弾道ミサイルについては「威力、多様性、一貫性を特徴とする」と指摘し、北朝鮮が2019年に実施したミサイル実験は13回、発射したミサイルは25発だったと報告した。
CNNが入手した同報告書の内容については、国連外交官2人が確認した。これは制裁が無視され続けていることを改めて物語る。専門家パネルは2019年にも同様の内容を報告して北朝鮮を非難していた。
報告書によれば、北朝鮮は兵器開発の資金に充てる目的で、石炭などの物資数百万トンを、船を使って中国の船舶に移し替える方法で輸出したとされる。
国連安保理の2017年の制裁決議では、北朝鮮による石炭や鉄鋼、海産物の輸出を禁じていた。
報告書では、「ある加盟国によると、北朝鮮は2019年1月から8月の間に370万トンの石炭を、推定3億7000万ドル相当で輸出した」と指摘。複数の加盟国からの報告によれば、不正に輸出された石炭は、バージ船に積まれて中国の杭州湾に面した3港と、長江流域の各地に送られたとされる。
中国は、北朝鮮による制裁逃れに手を貸している事実はないと繰り返し否定している。