「アフリカで治験を」、仏医師の提案に非難集中 WHO事務局長も批判
ナイジェリア・ラゴス(CNN) 新型コロナウイルス感染症に結核予防のBCGワクチンが有効との説をめぐり、フランスの医師がアフリカでの治験を提案したことに対して、「人種差別だ」「実験台にするな」と反発の声が上がっている。
パリのコチン病院で集中治療部門の責任者を務めるジャンポール・ミラ氏は、仏LCIテレビが1日に放送した番組で国立保健医学研究所のカミーユ・ロシュト氏と対談した。
この中でBCGの臨床試験が話題に上ると、ミラ氏は反発を招くかもしれないがと前置きしたうえで、「この研究はアフリカでやるべきではないか。アフリカにはマスクも治療手段も集中治療室(ICU)もない」と発言。エイズに関する一部の研究が、感染の機会が多く無防備な売春婦を対象に実施されたケースに少し似ていると述べた。
ロシュト氏は「確かに」と答え、アフリカでも並行した研究の実施を検討しているところだと語った。
この会話がソーシャルメディア上に流れると、アフリカ系の若者を支援する仏団体、エスプリデベーヌがフェイスブックに、アフリカの人々は「実験台のラット」ではないと投稿。サッカーの元コートジボワール代表選手、ディディエ・ドログバさんも「アフリカは実験室ではない」とツイートした。
モロッコの弁護士協会は差別的な憎悪発言だとして、仏検察に訴える方針を示した。
ミラ氏は3日、コチン病院の声明を通し、表現がまずかったせいでショックや屈辱を感じた人々に謝罪すると述べている。
しかし世界保健機関(WHO)のテドロス事務局長は6日の会見で、植民地主義の名残だと改めて批判。このような差別発言は連帯の精神に反すると語った。