WHO事務局長、新型コロナ対応を擁護 トランプ氏の批判受け
(CNN) 世界保健機関(WHO)のテドロス事務局長は8日、記者会見を行い、新型コロナウイルスの感染拡大に対するWHOの対応を擁護した。会見ではトランプ大統領からの批判に直接反論する場面も見られた。
世界の感染者が100万人を超えるなか、WHOの初期対応に向けられる視線は厳しさを増している。トランプ氏は7日、WHOへの拠出停止をいったん示唆したものの、後に発言を軌道修正した。
テドロス氏はスイスのジュネーブで開いた記者会見で、「どうかウイルスを政治利用しないでほしい」と発言。ウイルスが米国内の意見の相違につけ込んでいるとの見方を示しつつ、「ウイルスにつけいる隙を与えて、遺体袋を増やしたいなら、政治利用すればいい」と述べた。
そのうえで「遺体袋を増やしたくないなら、政治利用は控えるべきだ」「新型コロナウイルス感染症の政治利用は『隔離』してほしい。この危険なウイルスを打倒するには米国の結束が必要だ」と訴えた。
テドロス氏はさらに、今回の危機に対するWHOの対応を時系列で示した。
これによると、中国から武漢のクラスター(感染者集団)について報告を受けた翌日の1月1日、WHOは本部と地域拠点、国レベルの対応を調整する支援チームを発足させた。
その後、1月下旬の「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態」の宣言などを経て、2月上旬には国連の危機管理チームが発足したという。
テドロス氏は「これまでも可能なあらゆる対応を取ると言ってきたが、今後も引き続き、昼夜を問わず、人命を救うために全てのことをやっていく」と言明。新型コロナウイルスのような深刻な公衆衛生上の懸念に直面した場合、WHOでは事後評価を行っているとも付け加えた。