紛争地の停戦求める安保理決議案、米中対立で行き詰まり
(CNN) 新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、世界の紛争地に停戦を呼び掛ける国連安全保障理事会の決議案が、米国と中国の対立で壁に突き当たっている。
紛争地の停戦はグテーレス国連事務総長も繰り返し呼び掛けている。これを支持する安保理決議案の文言をめぐっては、中国が世界保健機関(WHO)の取り組みを盛り込むよう主張し、米国がこれに強く反対してきた。
外交関係者2人がCNNに語ったところによると、8日にはWHOの名前を避けて国連の「保健専門機関」に言及する代替案を採決にかける予定だったが、米国が採決を阻止し、国連内部に驚きが広がった。
決議案の検討は1カ月半以上前から進められてきたが、これによって頓挫し、復活の望みも絶たれた可能性があるという。
安保理内のある外交官はCNNとのインタビューで、決議案をめぐる議論が現実の問題から離れ、米中間の争いの場に化していたと指摘。「これで振り出しに戻ってしまった」と語った。
米国は新型ウイルスへの中国とWHOの対応に強い不満を示してきた。主要7カ国(G7)と20カ国・地域(G20)の会合でも国際協調への呼び掛けを拒否し、WHOへの資金拠出も停止している。
米国務省の報道官は、トランプ政権として停戦の呼び掛けには賛同するが、中国の態度が決議案の成立を妨げたと主張。中国は自国の新型ウイルス対応について虚偽の情報を広めるために、決議案を利用しようとしたと批判した。
そのうえで、決議案は停戦への支持表明に限定した内容か、新型ウイルスをめぐる各国の透明性や説明責任の必要性を十分に明記した内容にするべきだと主張した。