独軍内にユダヤ教指導者の軍務復活、ナチスの廃止以来
(CNN) ドイツ連邦議会は30日までに、兵士の精神的な健康管理などに当たるユダヤ教指導者(ラビ)の軍務を同国軍内に公式に導入する法案を承認した。ナチス・ドイツが1930年代にこの軍務を禁止してから初めて復活することとなった。
軍兵士の心理療法などに関する法律の内容が拡大されたのは1957年以降で初めて。クランプカレンバウアー独国防相は伝統への回帰と同時に、社会で増大する「反ユダヤ主義、過激主義やポピュリズムに対抗する措置」と説明した。
ラビはユダヤ人兵士約10万人がドイツのために戦った第1次世界大戦中は軍に所属していた。しかし、ヒトラーが権力を掌握した1933年に廃止されていた。
ドイツ軍は最近、過激主義の兵士がいることを認めた。昨年にはこの問題に対処する中央調整部門も発足させていた。
同軍による今年3月の報告書によると、過激主義や反憲法的な思念が原因で除隊となった軍人は計49人。このうち46人は極右の過激主義を信奉していたという。
国防省によると、ラビの役割は軍付きのカトリック教、プロテスタントの司祭や牧師と似ている。ラビは兵士が外国での任務を遂行する場合、同行するともした。
今回の法律承認を受けラビは6年間は一時的な軍契約の当事者として従軍する。将来的には恒久的な軍務になる可能性があるともした。また、ラビと同様、イスラム教導師の導入も検討しているという。
ドイツ政府は宗教別の軍兵士の内訳は公式には記録していない。ただ、兵士の自主的な報告に頼った推計数字によると、現在従軍するユダヤ教徒の兵士は約300人、イスラム教徒は3000人となっている。