ジョンソン英首相、香港住民の市民権取得に道 国家安全法導入の方針受け
香港(CNN) 中国が厳格な国家安全法を香港に導入する構えを示す中、ジョンソン英首相は3日、数百万人の香港住民に対して英市民権取得に道を開く考えを表明した。
香港紙サウスチャイナ・モーニング・ポストへの寄稿で述べた。
ジョンソン氏は国家安全法について「香港の自由を縮小し、自治を大幅に損なう」内容であり、1997年の香港返還に至る地ならしとなった中英共同宣言に違反すると指摘。同法が成立した場合、英国は移民法の変更によって「香港の人々との深い歴史上のつながりや友情を維持する」と表明した。
さらに、香港住民の市民権取得に道を開けば、「英国のビザ(査証)システムにおいて史上最大規模の変更となる」とした上で、「必要性が明らかになった場合、英政府はこうした措置を取ることをいとわない」と述べた。
英国のラーブ外相は先月、英国海外市民(BNO)旅券の保有者に与えられる権利を拡大する考えを示しており、ジョンソン氏の発表はこの提案を正式なものとした形だ。BNO旅券を保有する35万人あまりは現在、ビザなしで英国に6カ月間滞在できる。
ジョンソン氏によると、新システムでは滞在期間を1年間に延長して、更新も可能にする。就労の権利を含む移民としての権利も拡充する方針で、旅券保有者の市民権取得につながる可能性があるという。
これに対し、中国政府はすでに反発している。中国外務省の趙立堅報道官は先週、中英共同宣言は「完璧に履行済み」でもはや効力を持たないとする一方で、英政府が条約上の義務に違反したと批判。「香港に住む中国の同胞は全員、BNO旅券の保有者かどうかにかかわらず中国国民だ」「中国には相応の措置を取る権利がある」としていた。