ブラジル大統領、ワクチン利用に慎重姿勢 国民に強制せず
(CNN) 新型コロナウイルスの深刻な蔓延(まんえん)が続くブラジルのボルソナーロ大統領は5日までに、世界中で開発が進むワクチンの利用について同国の国家衛生監督庁(ANVISA)が第三者的な意見を公にするまで国民の接種を承認しないとの考えを示した。
フェイスブック上で週1回実施している映像中継で述べた。この中継開始の数時間前、ブラジル保健省は国内の累計感染者数が400万人を超えたと発表した。
ボルソナーロ大統領はワクチンは米国、欧州連合(EU)、日本や中国が開発に取り組み、これらの国などで効果の科学的な検証も行われているとしながらも、ブラジル内での投与にはさらなる試験が必要と指摘。
国民全てにワクチン利用を促すことはないとも述べた。国内のワクチン反対派は大統領の今回の発言を好感している。
先月31日には携帯電話を通じた映像メッセージで支持者に対しブラジルではワクチン接種を義務化しないとも主張。「ワクチンを国民の体に入れるのに無責任であってはいけない」とも述べた。
同国保健省は2日、ボルソナーロ氏の主張を追認するかのように、国民の全員がワクチン投与を強いられることはないとも確認していた。
ボルソナーロ大統領は新型コロナの感染拡大が進む中で経済活動の再開を重視する姿勢を前面に出し、「ただの風邪」などと軽視する発言も示して物議を再三醸している。一方で、大統領夫妻に加え、多数の閣僚が感染する事態ともなっている。