「有害事象は無関係」と研究所長 ブラジルで治験中断の中国製ワクチン
(CNN) ブラジルで実施されていた新型コロナウイルスワクチンの臨床試験(治験)が中断されたことに対し、現地で治験に協力するブタンタン研究所のコバス所長は10日、参加者に起きたとされる「重篤な有害事象」はワクチンと無関係だと主張した。
ブラジル衛生当局は9日、中国のバイオ医薬品メーカー、シノバック・バイオテックが開発している新型コロナウイルスワクチン「コロナバック」の第3相試験で参加者1人に重篤な有害事象が起きたとして、治験の中断を発表した。
これに対してコバス氏は10日の記者会見で、有害事象を分析した結果、ワクチンとは何の関係もないことが確認されたと断言。治験を中断する理由はなく、まもなく再開されることを願っていると語った。
有害事象の詳細についてはプライバシー保護のため公表できないとしたうえで、ワクチンとの関連を否定する情報は全て規制当局に提出されていると述べた。
シノバックも10日、「ワクチンの安全性を確信している」との声明を発表。コバス氏の見解にも言及したうえで、引き続きブラジル側と連絡を取り合っていくと表明した。同社はインドネシアとトルコでも第3相試験を実施している。
コロナバックについては、サンパウロ州のドリア知事が「国内で治験が実施されているワクチンの中で最も安全で有望」と主張してきた。一方、同氏と対立するボルソナーロ大統領は、英オックスフォード大学と英製薬大手アストラゼネカが共同開発するワクチンを有望視している。
中国の科学技術省は先月、同国で開発中のワクチン4種類について、第3相試験に参加した計6万人に重篤な有害事象が起きたとの報告はないと発表していた。