新型コロナワクチン、10カ国のみで75%を接種 国連事務総長が格差解消を訴え
(CNN) 世界で供給されている新型コロナウイルスワクチンのうち、75%がわずか10カ国で接種されていて、130カ国以上は1回目の接種も受けられない状況にある――。国連のアントニオ・グテーレス事務総長がそう指摘して、「ワクチン格差」の解消を訴えた。
グテーレス事務総長は、少数の国が世界のワクチン供給の大部分を握っているのは不公平だと強調。この格差に対応するために、主要20カ国・地域(G20)に対し、世界的なワクチン供給の推進を目指す緊急作業部会の設置を提案した。
17日に開かれた国連安全保障理事会のオンライン会合で、グテーレス事務総長は「ワクチンの公平性は、国際社会のモラルが試される最大の課題だ」と訴えた。
デジタルデータベースの「Our World in Data」によると、世界でこれまでに接種が行われたワクチンは約1億8800万回。このうち数千万回は米国、中国、英国、イスラエルで接種されている。
グテーレス事務総長は、世界の供給量の4分の3を接種した10カ国の名指しは避けているが、米国が含まれるのは間違いない。米疾病対策センター(CDC)によると、米国では7240万回分以上のワクチンが供給され、うち5600万回以上が接種されている。
グテーレス事務総長が提案した作業部会はG20の主要国・地域で構成され、こうした国が資金やノウハウを提供して、アフリカや中南米など「グローバルサウス」のワクチン接種を支援する。
同作業部会は、新型コロナワクチンの共同購入と公平な分配に取り組む世界保健機関(WHO)主導の枠組み「COVAX(コバックス)」と同様の機能を果たす。