イラク訪問のローマ教皇、瓦礫残るモスルで祈り 希望は「憎しみより強い」
(CNN) イラクを訪問中のローマ教皇フランシスコは7日、過激派組織「イラク・シリア・イスラム国(ISIS)」が拠点としていた北部モスルを訪れた。今なお残る瓦礫(がれき)の中に立ち、希望は「憎しみよりも強く、平和は戦争よりも強い」と宣言した。
教皇はモスル旧市街の教会跡を見下ろす広場で祈りをささげ、異なる出自や文化を持つ人々の「調和ある共存」を訴えた。かつてISISの拠点だったモスルは2017年、同市の支配をめぐる9カ月の戦闘で完全に破壊された。
教皇は演説で「ここモスルでは、戦争や対立が悲惨な結果をもたらすことがあまりに明らかになっている」と言及。「文明揺籃(ようらん)の地であるイラクがこれほど野蛮な打撃を被り、古代の礼拝の場が破壊され、何千人ものイスラム教徒やキリスト教徒、ヤジディ教徒らが住む場所を追われたり殺害されたりしたとは、何と残酷なことか」と語った。
ISISは2014年から17年にかけてモスルを支配した。奪還作戦では数千人が命を落としている。
教皇のモスル訪問はイラク国内を巡る旅程の3日目に行われた。歴代ローマ教皇がイラクを訪問するのは初で、フランシスコ教皇によるイタリア国外への外遊も新型コロナウイルス禍の発生以降で初めて。
カラコシュの教会で子どもたちと面会するローマ教皇/Andrew Medichini/AP
モスルを離れた後、教皇はイラク最大のキリスト教都市カラコシュを訪問した。カラコシュはモスルと同様、2年以上にわたってISISに支配されていた。
イラク国営テレビによると、教皇は7日、北部のクルド人自治区アルビルにあるスタジアムでミサを主宰する予定。これに先立ち同日、クルディスタン地域政府のバルザニ大統領との会談も行った。