フランシスコ教皇、イラク首都に到着 苦境のキリスト教会を励ます狙い
イラク・バグダッド(CNN) ローマ・カトリック教会のフランシスコ教皇は5日、戦争で荒廃したイラク各地を訪れるため、首都バグダッドに到着した。減少しつつあるイラクのキリスト教徒と面会し、その苦境に注目を集めることを目指す。
ローマ教皇によるイラク訪問は史上初めてで、有力な政治家や宗教関係者との会談も予定している。新型コロナウイルスの流行が始まって以来、教皇がイタリア国外に外遊するのは初となる。
教皇は専用機に同行した記者団に対し、「再び外遊を始めることができうれしい。これは象徴的な旅、義務だ」「イラクはあまりに長い間、殉教者の地となってきた」と語った。
5日には、カディミ首相やサレハ大統領と会談。教皇がバグダッド国際空港に到着すると、伝統舞踊の踊り手たちが出迎えた。マスクを着用した踊り手はいなかった。教皇と側近は全員、新型コロナウイルスのワクチンを接種済み。
その後、2010年に虐殺の舞台になったバグダッドの教会を訪れ、聖職者や他の関係者と面会した。教会中庭で教皇を出迎えた信者らは興奮した様子で、歌声も上がった。
教皇は10年のテロ攻撃で死亡した教区民にささげられたコラージュの前に座り、「我々がいま集まっている『救世主聖母大聖堂』は、神と教会への忠誠の究極の代償を払った兄弟姉妹の血により神聖になった」と語った。
イラクではこのところ新型コロナウイルスの感染者が増加しているほか、相次ぐロケット攻撃で治安面の懸念も高まり、教皇の訪問は中止になるとの見方が多かった。だが、教皇は長い歴史を持つイラクのキリスト教徒コミュニティーを「殉教者の教会」と呼び、予定通りの訪問を強く求めたという