ミャンマー、市街の流血止まず 国連は「人道に対する罪」懸念
(CNN) 軍がクーデターを起こしたミャンマーでは、11日も抗議デモ参加者らへの暴力的な取り締まりが行われ、監視団体によると少なくとも12人が軍に殺害された。国連の高官は平和的なデモに対する弾圧を非難し、「人道に対する罪」の法的要件を満たす公算が大きいとの見解を表明した。
ミャンマーの政治犯を支援する団体AAPPによれば、中部の小さな町ミャインでは警察が非武装の人々に発砲し、少なくとも8人を殺害した。ソーシャルメディアに投稿された画像には、路上に流れる血や、損壊して横たわる遺体などが写っている。
最大都市ヤンゴンでも、11日にデモ参加者1人が殺害された。ロイター通信が報じた。
国連はクーデター以後、少なくとも80人が殺害され、数百人が負傷したとしている。AAPPによると恣意(しい)的に拘束された人の数は2000人を超え、その多くは家族や友人との連絡を絶たれている。現在の居場所やどのような状況に置かれているかも不明だという。
CNNはAAPPの発表する逮捕者や死者の数の信憑(しんぴょう)性を独自に確認できていない。
ミャンマーの国営紙は10日に広告を出し、軍の主張を補強する形で、デモ隊には最小限の武力のみを行使しているとの見解を示した。
11日、ミャンマーの人権状況を担当する国連のトム・アンドリュース特別報告者は国連人権理事会での声明で、寄せられる大量の報告により、軍の治安部隊が殺人、投獄、迫害といった行為を働いていることがうかがえると指摘。これらはまとまった活動の一環で民間人を標的に広範かつ組織的に行われており、軍の指導部も状況を認識していると述べた。
そのうえで、このような「残忍な対応」は「人道に対する罪に関する法律上の要件を満たす公算が大きい」とし、国連加盟国による行動の必要性を訴えた。
具体的には軍事政権に入る資金や武器の流れを止め、政権指導部や軍が所有・管理する企業体、国営のエネルギー企業を対象とした多国間の制裁を科すべきだと主張した。