金正恩氏、「緊迫した食糧状況」認める 党会合で
ソウル(CNN) 北朝鮮の金正恩(キムジョンウン)総書記は朝鮮労働党の会合で、同国が昨年の台風や洪水の影響で食糧不足に直面していることを認めた。正恩氏はわずか数カ月前、危機が迫っている可能性があると国民に警戒を呼び掛けていた。
朝鮮中央通信(KCNA)の16日の報道によると、正恩氏は党会合で、同国が「緊迫した食糧状況」にあると述べた。
新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)に伴い、北朝鮮は世界の他の地域からますます自国を切り離している。正恩氏は15日の演説で、経済は全体的には改善が見られるものの、北朝鮮が直面する状況や環境は「今年に入って悪化した」との認識を示した。
さらに、今回の党会合で問題を見極めるべきだとも述べたという。
正恩氏は食糧不足の規模について明かさなかったものの、状況は深刻とみられる。KCNAによると、正恩氏は4月、党の最高レベルの会合で演説し、もう一度「苦難の行軍」に乗り出すよう人民に呼び掛けていた。
「苦難の行軍」とは、1990年代初頭に起きた壊滅的な飢饉(ききん)の時期を指す。当時の北朝鮮はソ連崩壊で援助の流入が途絶え、経済が急速に悪化した。人口の10%に当たる数十万人が餓死したと推定されている。
国連食糧農業機関(FAO)の試算によると、北朝鮮で不足している食糧の量は約86万トン。これは食料供給量の約2カ月分に当たる。
FAOは、北朝鮮が供給ギャップを埋めるのに必要な量の5分の1しか食糧輸入を計画していないと指摘。輸入か支援を通じてギャップが埋められなければ、今年8月から10月にかけて厳しい状況に陥る可能性があると警鐘を鳴らしている。