エチオピア軍、北部ティグレ州州都から撤退 住民は祝福
(CNN) 軍事衝突の続くエチオピア北部ティグレ州で28日、エチオピア軍が州都メケレから撤退した。国連当局者がCNNに語った。同州ではティグレ人勢力が軍に対する攻勢を強めていた。
この当局者はエチオピア政府の報復を恐れて匿名を条件に話した。
メケレの住民は屋内待機の要請がある中、軍の撤退を祝福して通りに出てきた。夜間には花火の打ち上がる音も聞こえた。
ティグレ地方政府の報道官は、ティグレ人勢力が州都奪還に向けた9つの師団との戦闘を経て「エチオピア陸軍の主力を破った」と述べた。
ただ、紛争は終焉(しゅうえん)には程遠いとも言及。「我々の目標は敵の戦闘能力を低下させることだ。犯罪的な軍隊が戻ってくる力を持たないようにあらゆる場所で追跡する」と述べた。
報道官によると、軍は撤退の際に銀行で略奪行為を働き、重要なインフラを破壊した。国連当局者によると、国際移住機関や国連児童基金(ユニセフ)、世界食糧計画の事務所にも押し入った。
ユニセフ幹部や国連報道官はエチオピア軍の行為を強く非難した。
エチオピア政府は28日、国営放送EBCが伝えた声明で、ティグレ臨時政府の停戦要請を受け入れると発表した。臨時政府は中央政府に忠実な存在となっている。声明によると、一方的な停戦は同州で重要な農耕期が終わる9月末まで続くという。
アビー首相は7カ月にわたり、隣国エリトリアの支援を得ながら、ティグレ人民解放戦線との戦闘を続けてきた。先週には政府軍の空爆がメケレ西郊の小さな町トゴガの市場を直撃し、目撃者や医療関係者によると少なくとも30人が死亡した。
長期に及ぶ戦争で飢餓が悪化、数百万人が避難を強いられる事態となり、ノーベル平和賞受賞者のアビー首相の名声も大きく損なわれた。