ブータン、対象者の9割にワクチン接種完了 迅速な対応に称賛の声
(CNN) ヒマラヤ山脈の小国ブータンで、新型コロナウイルスワクチンの接種対象とされる成人の9割が1週間のうちに2回目の接種を完了し、迅速な動きに称賛の声が寄せられている。
同国の人口約77万人に対し、ワクチン接種の対象者は18歳以上の約53万人。国連児童基金(ユニセフ)ブータン事務所のウィル・パークス代表によると、2回目の接種は今月20日に始まり、27日までに約48万人が完了した。パンデミック中で最も早く進んだ一斉接種だったのではないかと、パークス氏は指摘する。
ブータン国民への1回目のワクチン接種は3月から4月にかけ、インドから寄付されたアストラゼネカ製ワクチン50万回分を使って実施された。ところがインドが変異株「デルタ」による爆発的な感染拡大で、ワクチンの輸出を中止。ブータンは他国からの寄付を呼び掛けた。
2回目の接種用のワクチンを運ぶ医療関係者/Namgay Dorji/UNICEF
これに応えて、国際的なワクチン分配の枠組み「COVAX(コバックス)」を通し、米国からモデルナ製ワクチン50万回分が提供された。デンマークからはアストラゼネカ製25万回分、中国からもシノファーム製5万回分が寄せられた。さらに27日には、クロアチア、ブルガリアなど数カ国からアストラゼネカ製合わせて10万回分あまりが届く手はずとなった。
パークス氏は、ワクチン供給をめぐる国際的な連帯の表れだと称賛する。
険しい山岳地帯の村落までワクチンを届けるために、医療従事者2400人あまりと2万2000人のボランティアが活躍した。
マスク姿のワンチュク国王=4月15日/PPE/SIPA/Shutterstock
同国の迅速な対応の背景には、首相と外相、保健相の指導力があった。3人とも医療の専門知識を持つ人材だ。さらにワンチュク国王も積極的に各地へ足を運び、ワクチンの啓発に一役買った。