アフガン情勢で台湾に米支援の再考迫る論調拡大、中国
香港(CNN) 駐留米軍の撤退に伴うイスラム主義勢力タリバンの全土掌握によるアフガニスタン情勢の混迷を受け、中国の国営メディアの間に米国の影響力後退などを前面に押し出して台湾に教訓を迫る論調が目立ち始めた。
中国国営の新華社通信は最近、アフガンの首都カブールの陥落は米国の国際的なイメージや信頼感の崩壊を意味するとの論評を掲載。
これも国営の「環球時報」は同盟国への米国の公約が信頼出来ないことを示したと再三強調。台湾が中国と衝突すればアフガンと同じ運命をたどる可能性があるとも示唆した。論説で、台湾海峡で戦争が勃発すれば、台湾の防衛網は数時間で崩壊し、米軍も助けに来ないだろうと言い切った。
中国共産党は近年、米国は大国としての力を急速に喪失しているとの印象を広める宣伝戦を強化。国営メディアは今回のアフガン情勢の混乱を受け、米国の覇権の「弔鐘」とも断じた。
一方、台湾内でもアフガン情勢の急変を受け地元のソーシャルメディアではここ数日、中国の軍事力行使を受けた場合、台湾がどう対応し、米国が支援に駆け付けるのかなどをめぐる議論が発生。
この中で、台湾の蘇貞昌(スーチェンチャン)行政院長(首相)は記者会見で仮に攻撃を受けても、アフガンのようには崩壊しないと主張。台湾の指導部は強力な国家による力の行使で飲み込もうとする企てで殺害あるいは投獄されることを恐れはしないと強調した。
また、台湾総統府の報道担当者も台湾とアフガンの情勢の対比について鈍感な手法と批判。多くのアフガン国民が現在被っている甚大な苦難への配慮もないと指弾した。
アフガン情勢を台湾問題に引きつける国営メディアの報道に対応するかのように中国軍は17日、台湾近辺で戦闘機や戦闘艦船などを動員した演習を実施。米国と台湾によるたび重なる挑発行為の結託に対する対抗措置とも主張した。