シリア発電所から流出の石油、キプロスに迫る
(CNN) シリア沿岸部の発電所でタンクから流出した大量の石油が地中海に広がり、1日にはキプロス島に達する恐れがある。キプロスの水産海洋当局が8月31日に警告を発した。
シリア当局は先週、沿岸部バニヤスにある火力発電所で23日から、燃料の石油1万5000トンが入ったタンクが油漏れを起こしたと発表。流出はその後収拾できたと述べていた。
衛星画像を分析したスペインのオービタルEOS社によると、流出した石油は当初想定されていたより多く、米ニューヨーク市の面積とほぼ同じ約800平方キロの海域に広がっている。同社によれば、31日夜の時点でキプロス島まであと7キロに迫った。
キプロス当局は31日午前11時ごろの声明で、シミュレーションの結果と気象データに基づき、石油が24時間以内に同島北東部のアポストロス・アンドレアス岬に到達する可能性を指摘。対策への支援を表明した。
岬はトルコが実効支配する北キプロスに属し、バニヤスの西方約130キロに位置する。
SNSでは1週間以上前から流出石油の画像が拡散し、地元住民らは海洋生物への影響を懸念している。
バニヤスの住民が匿名でCNNに語ったところによると、海岸の汚染で収入が途絶えた世帯もある。この住民は「政府から送り込まれたチームはスポンジとホースを持ってきた。スポンジで海をきれいにすることはできない」と、いら立ちをあらわにした。
地中海東部では今年2月にもイスラエル沖で油が流出し、同国やレバノンの海岸が汚染された。