チュニジア新首相に女性指名 就任すればアラブ諸国で初
(CNN) 北アフリカのチュニジアのサイード大統領は29日、新たな首相に女性のナジラ・ブダン・ロムダン氏(63)を指名した。就任すれば同国やアラブ諸国では初めての女性首相の誕生となる。
地元メディアによると、同氏は高等教育省に勤務した経歴がある。ただ、サイード大統領が前首相の解任と議会機能の停止に踏み切るなど統治の強化を図る中で、新首相にどれほどの権限が付与されるのかは不明。地位が低下する首相になるとの見方もある。
大統領府が29日に発表した映像によると、ロムダン氏と会ったサイード氏は首相への指名についてチュニジアと同国の女性にとって名誉と主張。「我々は汚職根絶と政府機構を襲っていた混乱をなくすべく働く」とし、「多くの時間を浪費した」とも述べた。
大統領は今年7月、前政権を駆逐し穏健派のイスラム政党ナハダが主導する議会活動の停止を発表。批判派はクーデターとも非難していた。先週には憲法改正に言及し、緊急事態の中で法令による国政や自らによる政府管理の可能性にも触れていた。緊急事態が続く期間には言及しなかった。
2011年に起きた民主主義運動「アラブの春」の震源地となったチュニジアでは近年、経済苦境による財政悪化、新型コロナウイルス禍や政争に襲われ、首都では抗議デモも起きている。
ロムダン氏率いる新政権の喫緊の課題は予算編成や債務支払いに伴う金融支援の確保となっている。国際通貨基金(IMF)との協議は今年7月に中断していた。