医療態勢は「崩壊」、冬季到来で犠牲者増の懸念 アフガニスタン
(CNN) イスラム主義勢力タリバンが暫定政権を樹立したアフガニスタンで活動する国連機関やNGOは10日までに、同国の医療態勢はここ数カ月で内紛や外国援助の枯渇により文字通り崩壊したとの危機感を表明した。
数千人規模の医療従事者は給料を半年間もらえず、医療施設では薬品や装備品が払底。NGO「セーブ・ザ・チルドレン」は冬季が近づき5歳以下の子どもの死亡が毎月数千人増える恐れがあると警告した。
医療崩壊の現状は特に都市部以外で目立つ。世界保健機関(WHO)や同NGOによると、国内にある2300の医療関連施設の80〜90%がどうにか機能を維持している。ただ、国連人道問題調整事務所(OCHA)はこれら施設の3分の2は必要な医薬品を使い果たしたと報告した。
国連によると、食糧不足は慢性的で、国民1200万人以上が飢餓の危機にあり、栄養不良も急激に増加。国内の現金不足でNGOは給料支払いや物資補給が困難となっている。
自宅など失ったアフガン人は今年60万人以上で、このうち8割が女性や子どもとした。2時間ごとに女性1人が出産時に死去しているとの悲劇的なデータもある。
新型コロナウイルスの感染者も増加。国民の大多数はワクチン未接種者で、データ算出の方法がなく検査も非常に少ないことから国内の感染状況も正確に把握出来ていない。コロナ禍を知らない国民も多いという。国連によると、ワクチン接種者は今年8月前には約220万人だった。