SNSアイドルの妹を殺害した受刑囚を釈放 パキスタン
カラチ(CNN) パキスタンの裁判所は14日、SNSへの奔放な投稿で人気者になった妹を「家族の名誉を汚した」として殺害し、終身刑を言い渡されていたワシーム・バローチ受刑者の釈放を命じた。
ワシーム元受刑者の弁護士は15日、CNNとのインタビューでこれを確認したが、詳細には言及しなかった。裁判所命令の内容も公表されていない。
元受刑者の妹、カンディール・バローチさんは25歳だった2016年、東部パンジャブ州ムルタンの自宅で殺害された。元受刑者は数日後の動画で殺害を認めたが、法廷では無罪を主張し、19年に終身刑を言い渡された。
カンディールさんはネット上で大胆な発言や政治的な主張を繰り返し、フェイスブックでは75万人近いフォロワーを誇る一方、保守的なパキスタン社会からは反発を買っていた。
ワシーム元受刑者は告白の動画で、妹を殺したことを「誇りに思う」と言い切り、「女子は家にいて伝統を守ることが生まれながらの定めだ。妹はそれに従おうとしなかった」と話した。
パキスタンには当時、このようないわゆる「名誉殺人」の加害者を、被害者の遺族が赦免できるという法律があった。それがワシーム元受刑者にも適用されるのではないかとの懸念が広がったことを受けて、議会は事件から3カ月後にこの法律の廃止を決めた。
それでもワシーム元受刑者が今になって釈放されたことに対し、人権活動家らの間では名誉殺人の容認につながるとの懸念が改めて指摘されている。