ロシア、バイデン氏と多数の米当局者に対する制裁を発表
(CNN) ロシアは15日、米国のバイデン大統領をはじめとする幅広い立場の米当局者に対する制裁を発動した。ロシア軍がウクライナ侵攻を継続する中、ロシアのプーチン大統領と西側諸国との緊張を改めて高める措置となる。
ロシア外務省が同日発表した声明によると、同政府は入国禁止措置の対象とする個人のリストにバイデン氏、ブリンケン米国務長官、オースティン米国防長官、米軍制服組トップのミリー統合参謀本部議長、サリバン米大統領補佐官(国家安全保障担当)、バーンズ米中央情報局(CIA)長官、ホワイトハウスのサキ報道官らを新たに加える。
この「ストップリスト」は、バイデン氏の息子のハンター・バイデン氏や元米国務長官で大統領選の候補者でもあったヒラリー・クリントン氏ら、政府と無関係の個人も含む。
当面バイデン政権のメンバーがロシアに渡航する公算は小さいとみられることから、上記の制裁措置はおおむね象徴的なものとなる。米国並びに同盟国は、ウクライナ侵攻を受けてプーチン氏とロシアの有力者らへの制裁に踏み切っている。
バイデン氏と政権はプーチン氏との会談の可能性を排除したほか、同氏が戦争の外交的解決に本当に関心があるのかどうか疑問を呈している。
ロシア外務省は今回の制裁措置について、米国が過去数週間に発動した制裁への対応だと述べた。
ロシア政府は今後もさらなる制裁を科す可能性を示唆。対象者のリストを「高位の米当局者、軍当局者、国会議員、ビジネスマン、専門家、メディア関係者」に拡大することが見込まれるとした。制裁は、こうした人物がロシアへの嫌悪感から同国に対する憎悪をあおるような行動に出たり、規制措置の導入に関わったりした場合を想定している。
ただ声明によると、ロシア政府は当該の人物らと公式に関係を維持するのを拒絶するわけではない。ロシアの国益と一致するのであれば関係は保つほか、必要であれば「ブラックリスト」入りの状態が引き起こす問題の解決にも取り組み、高官レベルの接触を実施するという。
ホワイトハウスのサキ報道官は15日の会見で、ロシアによる制裁の効果はあまりないと指摘。対象者の誰にもロシアへ旅行する計画はなく、これによってアクセスできなくなる銀行口座もないと述べた。
一方のロシアには、近くデフォルト(債務不履行)に陥りかねない兆候が表れている。シルアノフ財務相は13日、ロシアの外貨準備高の半分が西側の制裁により凍結させられたと明らかにした。