マリウポリへの野蛮な攻撃、「シリアで用いた戦術」と専門家
(CNN) ロシアによるウクライナへの侵攻は大半の地域で停滞しているものの、南部では進展がみられる。現地の軍隊の戦術はシリアで採用されたのと同じものだと専門家は指摘する。
ロシアはウクライナ南東部の港湾都市、マリウポリに対し、数週間にわたる容赦のない爆撃を実施。数十万人の市民が身動きできない状態となっていた。米シンクタンク、戦争研究所でロシアの分析に携わるメーソン・クラーク氏によると、これは中東シリアでの作戦を参考にした手法だという。
具体的にはそれぞれの区域を標的とし、精度の低い武器でより甚大な被害を与える戦術だ。民間のインフラにも攻撃を加える。
「給水施設や電力供給施設、インターネットや携帯電話の基地局などを極めて意図的に狙う。守備側が持ちこたえるのを一段と困難にし、降伏せざるを得ない状況に追い込もうとする」(クラーク氏)
同氏はさらに「これと同じ手法をロシア軍はシリアの多くの都市で使った。アレッポやパルミラがそうだ」と付け加えた。
マリウポリでは人々が避難した劇場を爆撃したが、ロシア軍によるこうした戦争犯罪にも相当する行為は過去にシリア、ジョージア、チェチェン共和国でも見られたものだという。
シリアでの内戦を受け、アレッポは廃虚と化した。空爆の結果多くの民間人が死傷し、病院も破壊された。
もしマリウポリが陥落すれば、戦争の趨勢(すうせい)が大きく変わるかもしれないとクラーク氏は予測する。その場合、現在同作戦にくぎ付けとなっている部隊の大多数が任務から解放され、さらなる作戦に着手することが可能になるとみられるからだ。