ソロモン諸島、中国との安保協定を擁護 周辺国の反発は「侮辱的」
(CNN) ソロモン諸島のソガバレ首相は29日、中国と結ぶ可能性のある安全保障協定を擁護し、協定に対する批判に「非常に侮辱的だ」と反論した。
ソロモン諸島は先週、中国との安保関係を強化することを認め、中国の勢力拡大を警戒する地域のトップらが警告を発する事態となった。
ソガバレ首相は29日に国会で、国際的な反発に対して「我々の主権問題を管理するのに適していないと烙印(らくいん)を押されるのは非常に侮辱的だ」と述べた。
「安保協定はソロモン諸島の要請によるものであり、我々は新しい友人からいかなる圧力も受けていない。地政学的な権力闘争に巻き込まれるつもりはない」とも語った。
ソガバレ首相はまた、中国がソロモン諸島に軍事基地建設を計画しているとの報道について豪メディアを批判した。もし実現すれば、オーストラリアが裏庭と位置付ける太平洋地域にできる初の中国軍基地となる。
首相官邸は25日の声明で「国内外の投資にとって安全かつ確実な環境を整えるため、中国と多くの開発枠組みを締結し、実施するよう取り組んでいる」と明らかにした。
ソガバレ首相はさらに29日に国会でこの動きを擁護し、「安全保障の必要性に向けて多様化が必要だ。我々は安保能力に限界がある国であり、常に支援を必要とすることは明らかだ」と述べた。
しかし、この協定に対しいくつかの国は懸念を示した。米国や豪州は同地域で中国の勢力が拡大していることに警戒を強めている。
豪州は何十年もの間、太平洋諸国の中で、援助に依存する国を支援する裕福な国として強い影響力を及ぼしてきた。しかし近年、中国がこの地域の主要プレーヤーとなり、何十億ドルもの投資を行っているため、小さな島々は激しい権力闘争の中心地となっている。
中国が南シナ海の島々で海事能力を高め、軍備を整えるにつれ、この緊張は高まるばかりだ。
豪州は既にソロモン諸島と安保協定を結んでいる。2018年発効の協定には、安保上の脅威が生じた場合、豪州の警察や軍隊、文民をソロモン諸島に迅速に展開することができると定められている。
ソロモン諸島政府は25日の声明でこの協定に言及し、「中国を含むすべてのパートナーとの関係を発展・深化させる中で、豪州との安保協定を引き続き維持する」としている。
豪州のダットン国防相は、中国との安保協定は最終的に中国がこの地域での軍事的プレゼンスを拡大することにつながるとの懸念を表明した。
モリソン首相も記者団に対し、ソロモン諸島の中国との協定は「地域にとって懸念すべき問題だ」と述べたが、「驚くようなことではない」とも付け加えた。「このような圧力は以前から認識していた」とし、今回の事態は「この地域に存在する国家安全保障に対する絶え間ない圧力と脅威を思い起こさせるものだ」と語った。
ニュージーランドも29日の声明で「太平洋地域の安全を長年にわたって確保してきた現行の制度や取り決めを不安定にする危険がある」と「強い非難」を表明した。
また、昨年ソロモン諸島で起きた内乱を受け展開したニュージーランド国防軍(NZDF)と警察の派遣を継続することも発表した。
ソロモン諸島が中国との外交関係を確立したのは最近で、19年に台湾と断交し中国を承認した。この決定をめぐって、政府は市民からの圧力に直面してきた。
昨年11月には首都ホニアラで暴力的な抗議デモが発生。その際、豪州は警察と国防軍を派遣して地元当局を支援した。
ソガバレ首相は29日、ニュージーランドと豪州はそれぞれ、依然として重要な二国間パートナーだと述べた。