北朝鮮が発射したICBM、最新型ではない可能性 韓国当局者
韓国・ソウル(CNN) 北朝鮮が先週打ち上げた大陸間弾道弾ミサイル(ICBM)は過去最長の射程距離を有すると報じられたものの、実際には当初認識されていたほど先進的なタイプではなかった可能性がある。韓国軍の当局者が明らかにした。
北朝鮮は24日、新型ICBМの「火星17」を打ち上げたと発表していた。匿名を条件に取材に応じた上記の当局者によれば、韓国と米国が分析したところ、実際に打ち上げられたのはより旧型で大きさもやや下回る「火星15」だったという。北朝鮮は2017年にもこの型のミサイルを発射している。
ここまで複数のミサイル専門家が同様の結論に達している。ただ今回打ち上げたミサイルも、理論上は米国全土に到達する性能があるため引き続き警戒が必要だという。
韓国の当局者によれば、同国と米国の政府が評価した当該のICBМにはエンジン噴射口が「火星15」と同じく2基しかなかった。「火星17」にはエンジン噴射口が4基ある。
また朝鮮中央テレビ(KCTV)が25日に公開した映像では、発射を主導する金正恩(キムジョンウン)総書記の影が西側に伸びている。これは撮影された時間が午前中であることを示唆するが、実際の発射時間は午後だった。また打ち上げが行われた24日の現地の天気は曇りだったが、KCTVの映像では晴れているように見える。上記の韓国当局者が指摘した。
米ミドルベリー国際大学ジェームズ・マーティン不拡散研究センターで東アジア不拡散プログラムを統括するジェフリー・ルイス氏はKCTVの映像について、失敗に終わった同月16日の打ち上げの際に撮影されたもののようだと述べた。映像中の影の長さを測定し、日時を割り出したという。
16日に打ち上げられたミサイルは、発射直後に高度20キロ前後で爆発。韓国の国会議員が軍からの説明として明らかにしたところによると、この時平壌にはミサイルの破片が降り注いだという。
またカーネギー国際平和基金に所属する核政策の専門家、アンキット・パンダ氏は、火星15をもっと強力なミサイルに見せるために手を加えた可能性があると指摘。火星15の弾頭部に非常に軽い物体を搭載したか、何も載せていない状態で発射したように見えると語る。
北朝鮮側が火星15ではなく火星17を発射したと主張していることについては、国内向けのアピールだと分析。食料不足や経済の低迷、新型コロナのロックダウン(都市封鎖)などで苦しむ国民に対し、国防能力は進歩し続けていると宣伝する狙いがあったとみている。