ロシア軍の士気低下、改善せず 給与未払いも 英国防省
(CNN) 英国防省は8日までにウクライナ情勢に関しロシア軍は戦闘疲れによる士気の低下や指揮統制の乱れに依然悩み、給与支払いの問題も抱えているとの分析結果を示した。
同省はSNS上の声明で、ロシア軍はウクライナへ送り込んだ兵力に基本的な物資を継続的に補給出来ないでいると指摘。これら物資には制服、武器、食料などが含まれ、給与未払いもあるとした。この後方支援態勢の不備が兵力の大半を襲う貧弱な士気につながっているのはまず間違いないとも見立てた。
ロシアは自軍部隊に通常、「適度な水準」の基本給や複雑な仕組みがある様々なボーナス金や手当を支給していると指摘。
その上でウクライナでは相当な額とみられる「戦闘ボーナス」が供与されていない深刻な問題が生じている可能性があると言及。軍内のお役所仕事、ウクライナ侵攻を「特別軍事作戦」と称する異例の法的な位置づけや少なくとも司令官級での汚職体質が背景にあるだろうと分析した。
米欧当局者は先月下旬、ウクライナ軍はロシア軍の攻勢に対し互角の勝負を挑んでいるとみられるとの戦局判断も示していた。米欧が引き渡した先端兵器の威力、優勢な士気の維持、部隊の団結力、機敏な戦術採用や優れた臨機応変さなどをその要因とした。
米国防総省当局者は、ウクライナ侵攻でロシア軍が被った死傷者は7万~8万人と推定している。
この中でウクライナ軍情報総局当局者は8日までに、ロシア軍の新たな部隊の投入は11月下旬まで不可能の状態にあると述べた。訓練を受けた職業軍人や装備品の不足を根拠にした。
新たな部隊には旧ソ連時代の兵器をあてがわれているとし、多くの場合、実戦には不適格な種類ともした。同当局者はSNS上で、職業軍人の補充が問題となっており、この事態を乗り切るための訓練には3~4カ月要するとも述べた。
さらにロシア軍は今年の2、3両月に被った大規模な兵力損失で先端的な装備のほぼ全てを失っている状況にあるともした。このため新たな編成部隊には旧ソ連時代の古びた兵器が与えられているとも主張した。軍装備の4割は戦場に投入出来る状態にはないとし、修理などが必要ともした。