ウクライナ軍、北東部イジュームに進撃 ロシア軍撤退
(CNN) ウクライナ軍は10日、北東部ハルキウ州でロシア占領地の奪還を目指す反転攻勢を進め、ロシア軍が攻撃拠点としてきたイジュームに進撃した。現地からの情報によると、ロシア軍は同市からの撤退を余儀なくされた。
ウクライナ陸軍の報道官は声明で、ロシア軍部隊が武器や弾薬を残して逃走し、市中心部は解放されたと宣言した。
現地からの動画や衛星画像には、ウクライナ軍が前線を越えてロシア軍の司令拠点や弾薬庫、燃料庫を攻撃する場面がうつっている。
イジュームはハルキウ州と東部ドネツク州の境界付近に位置し、5カ月以上前からロシア軍に占領されていた。
イジュームの親ロシア派当局も10日、ロシア軍の撤退を認めた。ロシア国営RIAノーボスチ通信は親ロシア派当局トップの発言として、同市の状況は「非常に厳しい」と伝えた。その後、ロシア国営タス通信が伝えたところによると、同トップは住民らをロシア領へ避難させ始めたと言明した。
ウクライナ軍は10日、イジュームの北約50キロに位置するクピャンスクの奪還も発表した。
対話アプリ「テレグラム」上でロシア軍の動きを伝えるチャンネルは、ロシア軍がクピャンスクから撤退するなか、住民らはウクライナの報復を恐れ、隣接する東部ルハンスク州で親ロシア派が名乗る「ルガンスク人民共和国」へ逃げ出したと伝えた。
これに対してSNSには、解放された地区の住民がウクライ軍部隊を歓迎する様子が投稿されている。
ウクライナ軍はさらに、ドネツク州とルハンスク州の境界付近でも反撃を開始した。ルハンスク州のハイダイ知事によると、焦点となっているのは、ウクライナ側が州内で最後まで維持しながら7月にロシア軍に制圧された拠点都市リシチャンスク。
ハイダイ氏は10日、CNNとのインタビューで「敵軍と協力者を含む占領者があわてて逃走している」と語った。これを裏付ける住民らの動画や写真もあるとしたうえで、安全保障上の理由により共有することはできないと説明した。
ウクライナのレズニコウ国防相は10日、ドイツのラムシュタイン米空軍基地での会合で、最近のウクライナ軍による南部や東部での快挙に同盟諸国は驚いていると語った。
一方、ロシア国防省はここ数日間のウクライナ軍の進撃についての沈黙を破り、ドネツク方面での戦闘に集中するためにイジュームなどの部隊を再編成する決断が下されたと述べた。