COP27 気候変動の被害者支援へ基金創設で合意、化石燃料の廃止は示せず
交渉担当者や交渉を見守ったNGOは、極めて大きな成果だと称賛した。合意に向けては途上国や島国が団結して圧力を強める動きも見せていた。
小島嶼(とうしょ)国連合のモルウィン・ジョセフ議長は「我々の世界全体の勝利だ」と評価した。専門家によれば、途上国のグループ「G77」も団結してこの問題の前進で圧力を強めていた。
大きな被害を出したパキスタンの洪水など、気候変動による災害の発生が世界の注目を集めたことも基金設立の後押しとなった。
今後は資金拠出をどう実現するかといった点に焦点が移る。バイデン政権高官によると、基金には責任や補償の条項は含まれていないという。
米国や他の先進国は長年、他国からの法的責任の追及や訴訟のリスクを生じさせるような規定を避けようと努力してきた。米国のケリー気候変動問題担当大統領特使は、損害と損失は補償と同じものではないと指摘。「『補償』はこの文脈で使われる言葉、用語ではない。我々は先進国が途上国を気候変動への対応で支援することは必要だと常々言ってきた」と述べていた。
基金の運用の詳細はまだ決まっていない。いつ詳細が決まり運用が始まるのか、どのように資金が賄われるのか、合意文書には多くの疑問点が残る。詳細は暫定委員会で詰めるとされているが、その期限も設定されていない。
1.5度以内の文言は維持
COP27は世界の気温上昇を1.5度以内に抑える目標を確認した。ただ、専門家からは、目標達成に必要な化石燃料の段階的廃止に関する文言がなかったことに落胆の声が上がっている。