COP27 気候変動の被害者支援へ基金創設で合意、化石燃料の廃止は示せず
昨年英グラスゴーで開かれたCOP26と同様、合意文書には石炭火力発電の段階的縮小と「非効率な化石燃料補助金の段階的廃止」は盛り込まれたものの、石油や天然ガスなど全ての化石燃料の段階的廃止を求める文言はなかった。
欧州気候基金のローレンス・トゥビアナ最高経営責任者(CEO)は「化石燃料業界の影響が全面的にあった」と指摘し、「エジプトの議長は明らかに石油・天然ガス国家や化石燃料業界を守る文言を提示した」と語った。
昨年グラスゴーで合意された1.5度の基準を巡っては、それを維持するための目覚ましい動きも見られた。
EUの当局者は19日、高官を並べて記者会見を開き、もし最終合意に気温上昇を1.5度以内に抑えるとの目標が含まれないならCOP27から去ると脅しをかけた。前述のティマーマンス氏は「悪い合意よりは合意がない方がいい」と語った。
米中の気候変動対話が再開
COP27の期間中、温暖化ガスの2大排出国である米国と中国が気候変動対策に関する協議を再開させたことも大きな成果となった。
中国は今夏、米国のペロシ下院議長の台湾訪問後に協議を中止。バイデン米大統領と中国の習近平(シーチンピン)国家主席が先週、主要20カ国・地域首脳会議(G20サミット)が開催されたインドネシア・バリ島で会談して対話の再開で合意し、ケリー氏と中国の解振華・気候変動特使の正式な協議再開が実現した。
情報筋によると、米中両国は先週会合を重ね、協議停止前の進捗(しんちょく)を確認。強力な温室効果があるメタンガスの排出削減に向けた中国の計画や、両国の全体的な排出目標など、具体的な行動に関する議論が進んだという。
昨年のように両国から気候変動に関する大きな共同声明はなかったものの、協議の再開自体は今後の明るい兆しとなった。