パレスチナ武装集団、病院から奪ったイスラエル人少年の遺体を返還 イスラエル軍
(CNN) ヨルダン川西岸ジェニンでパレスチナの武装集団が病院を襲撃し、西岸の自動車事故で死亡したイスラエル人少年の遺体を強奪した件で、イスラエル軍は24日、遺体が家族の下に送り届けられたと明らかにした。武装集団側には何も与えていないという。
イスラエル軍の報道官は状況説明で、武装集団とはいかなる形での交渉も行っておらず、こちらから何かを与えてもいないと述べた。その上で、この件の結果がジェニンの経済にとって極めて厳しいものになることを相手側が理解したのだと思うとの見解を示した。
双方の当局者が23日に発表したところによると、武装集団はジェニンの病院を襲撃し、事故で死亡していたティラン・フェッロさんの遺体を奪った。武装集団は遺体と引き換えに、イスラエル軍に殺害されたパレスチナ人の遺体の返還を要求していたという。
イスラエルはその後ジェニンに出入りする道路を封鎖したが、遺体の返還を受けて解除した。
ジェニン知事のアクラム・ラジューブ少将はCNNの取材に答え、パレスチナ自治政府の治安当局者が武装集団の一人と連絡を取り、遺体の返還を実現したと述べた。
武装集団の襲撃時、実際にフェッロさんが死亡していたかどうかについては議論が分かれている。フェッロさんの父はイスラエルのメディアに対し、息子は当時まだ生きていて、病院でパレスチナの武装集団が生命維持装置を外したと訴えている。フェッロさんは少数派のドゥルーズの出身だった。
一方、ラジューブ知事は、遺体が奪われた時点でフェッロさんは死亡していたとCNNに語った。
イスラエルのヤイル・ラピド首相は23日、フェッロさんの遺体が返還されなければ「誘拐犯は重い代償を支払うことになる」と警告していた。同首相によると、フェッロさんは24日が18歳の誕生日だった。