ANALYSIS

中国問題、専門家が米海軍に警鐘 「規模で上回る艦隊が十中八九勝つ」

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北海とバルト海をつなぐ運河にバルト海側から入る中国海軍の江凱型フリゲート/Joerg Waterstraat/SULUPRESS.DE/dpa/AP

北海とバルト海をつなぐ運河にバルト海側から入る中国海軍の江凱型フリゲート/Joerg Waterstraat/SULUPRESS.DE/dpa/AP

韓国・ソウル(CNN) すでに世界最大の海軍を有する中国が軍備拡大を続ける中、米海軍大学校の教授は米国の軍事計画立案者に警告を発している。海上戦では必ずと言っていいほど、相手より大規模な艦隊が勝利するというのだ。

サム・タングレディ教授は米海軍協会の機関誌「Proceedings」1月号に寄稿し、歴史を教訓とするならば、米中が争うことになれば数で勝る中国が米軍を打ち負かすだろうと述べている。

海軍大佐(退役)で、現在は米海軍大学校の教授を務めるタングレディ氏は、紀元前500年のギリシャ・ペルシャ戦争から冷戦中の代理戦争や内政干渉に至るまで、28件の海上戦を調査した。その結果、実際に優れた技術力が数の優位性に勝った例はわずか3件だった。

「それ以外の戦いではいずれも、勝利をもたらしたのは数の優位性だった。軍事力が同等の場合は、優れた戦略または指揮官の力量だった」とタングレディ氏は書いている。「この3つはしばしば切っても切り離せない。一般的に、大規模な艦隊を運用すれば訓練の拡充が容易になるし、時には上層部が戦略条件に心を砕いている指標にもなる」

3つの例外――11世紀、16世紀、19世紀の戦争――は、とくに熱心な学者以外の人間にはなじみがないだろう。だがそれ以外の戦争、すなわち数が技術力に勝った戦いはよく知られている。

例として、19世紀初頭のナポレオン戦争を見てみよう。

「フランスの軍艦は設計技術や造船技術で勝っていたが、最終的にナポレオンの(英仏)海峡横断を阻止したのは、英国海軍の圧倒的な数だった」(タングレディ氏)

刻々と迫る脅威

米国防総省の高官は、中国が米軍にとって「刻々と迫る脅威」だとみなしている。だが艦隊の規模や数を見ると、米海軍は中国海軍のペースに追い付いていない。

米国防総省が2022年に発表した「中国軍事情勢報告書」によると、中国人民解放軍海軍(PLAN)は20年前後に艦船数で米海軍を上回り、現在は約340隻を保有している。報告書によれば、この先2年間で400隻にまで増える見込みだ。

一方で米海軍の艦隊はというと、300隻未満。昨年夏に発表された22年度米海軍運営計画によると、国防総省は45年までに有人艦を350隻にまで増やすことを目標に掲げているが、それでも中国にははるかに及ばない。

そこで米軍が頼みの綱としているのが、技術力だ。

先の国防総省の文書にも、「世界は新たな戦争の時代を迎えつつある。紛争時には艦隊の規模だけでなく、それ以上に技術力、構想、友好関係、システムの融合が勝利を左右するだろう」とある。

だがタングレディ氏は、日本の技術力が当初は米国をしのいでいた太平洋戦争を例に挙げ、国防総省の結論が必ずしも正しくない理由を説明している。

機関誌の中でタングレディ氏はこう書いている。「大日本帝国は零戦、酸素魚雷、浅瀬でも攻撃可能な航空魚雷など、優れた技術力で戦争に突入した」

「しかしながら、米国の国防産業の総合力と米軍艦隊の規模(とりわけ補給艦や水陸両用艇)が、大日本帝国海軍から勝利をもぎ取った」(タングレディ氏)

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