過去の暴動めぐりモディ首相を批判、英BBCの番組が放送禁止に インド

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主要20カ国・地域首脳会議(G20サミット)の会合に出席するモディ首相=2022年11月、インドネシア・バリ島/Willy Kurniawan/Reuters

主要20カ国・地域首脳会議(G20サミット)の会合に出席するモディ首相=2022年11月、インドネシア・バリ島/Willy Kurniawan/Reuters

ニューデリー(CNN) インドで20年以上前に起きた暴動に関与したとしてナレンドラ・モディ首相を批判する英BBCのドキュメンタリー番組が、インドで放送禁止になった。この措置をめぐり、報道の自由に対する侵害として非難する声も上がっている。

インド情報放送省の上級顧問は同番組の放送禁止について、同国のIT規定に基づき政府に与えられた「緊急権限」を行使したと説明した。

「ユーチューブで共有された『ドキュメンタリー』と称するBBCワールドの敵対的プロパガンダ兼反インドのくず動画と、このBBCドキュメンタリーへのリンクを共有するツイートは、インドの主権法と規定に基づき遮断された」。上級顧問は21日、ツイッターにそう書き込み、ツイッターもユーチューブもこの命令に従ったと言い添えた。

CNNは両社にコメントを求めたが返答はなかった。

放送禁止となったドキュメンタリー番組「インド:モディ・クエスチョン」は、2002年に西部グジャラート州で多数派のヒンドゥー教徒と少数派のイスラム教徒が対立する暴動が起きた当時、同州首相を務めていたモディ氏を批判する内容だった。

この暴動では、列車が爆破されてヒンドゥー教徒数十人が死亡した事件がイスラム教徒の犯行とされ、報復としてヒンドゥー系の暴徒がイスラム系住民の住宅や商店に放火。政府の記録によれば、イスラム教徒を中心に1000人以上が死亡した。

モディ氏と同氏率いる与党インド人民党は14年、ヒンドゥー至上主義の波に乗り、政権を握った。同国は人口13億人の80%近くをヒンドゥー教徒が占める。

モディ氏は02年の暴動を阻止できなかったとして非難されたが、本人はそれを否定。インド最高裁が12年に任命した特別捜査班は、モディ氏に責任があることを裏付ける証拠は見つからなかったとした。

インド外務省報道官はBBCのドキュメンタリーを「信憑(しんぴょう)性のない話を押し付ける意図をもったプロパガンダ」と形容。19日の記者会見で、「この運動の目的や背後の意図に疑問がある。このような取り組みに威厳をもたせることは望まない」と強調した。

これに対してBBCは、ドキュメンタリーの制作にあたっては「最も高い編集基準に従い綿密な調査を行った」とする声明をSNSに掲載した。映像にはインド人民党関係者の反応も含め、幅広い目撃者や専門家などの証言を盛り込んだとしている。

インド政府はBBCの取材に対して反応を拒んだとも付け加えた。

CNNはBBCにコメントを求めたが、これまでのところ返答はない。

放送禁止はインド国内で多くの反発を招いた。モディ首相支持派は放送禁止を歓迎する一方、野党政治家は批判の声を上げている。

与党インド人民党の広報は、「24年の選挙を念頭に、ナレンドラ・モディ首相のイメージを汚すことを狙った生態系が形成されつつある」とツイートした。

一方、野党議員は、政府が検閲を振りかざすことは容認できないと強調。「BBCの番組で何が証明され、何が反証されたのかは視聴者が判断することだ」と語った。

番組では、BBCが入手した英政府の非公開の報告書を紹介している。この報告は外交公電の形で伝えられたという。

この報告書によって、02年の暴動が「民族浄化のあらゆる特徴」をもつ出来事だったことが明らかになったとBBCは指摘。「イスラム教の女性に対する広範かつ組織的なレイプ」があったとしている。

02年当時の英外相で、ドキュメンタリーに登場するジャック・ストロー氏は、モディ氏について「警察の撤収と、ヒンドゥー教過激派に対する暗黙の挑発において、事前に積極的な役割を果たした」と話している。

ドキュメンタリーの第1部は17日に放送され、第2部は24日に放送される。

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