ソウル(CNN) 韓国の韓悳洙(ハンドクス)首相はCNNとの単独インタビューに応じ、韓国は北朝鮮からの脅威を抑えるために核兵器を必要としていないとの認識を示した。ただ、アジアの軍拡競争が加速する中、世論は首相の発言とは別の方向に振れている。
韓氏は最近の複数の世論調査で「我々が再武装すべきだとの意見が明確に示されている」と指摘し、核能力の点で言えば「さらに進むべきだ(と調査は示している)」と述べた。
昨年2月公表のある世論調査では、回答者1300人あまりのうち71%が韓国の核兵器開発を支持した。朝鮮半島の緊張が高まり、米国による防衛に対する国内の信頼も減退する状況で、以前は考えられなかった考えがこの10年で徐々に主流になってきている。
だが、韓氏は韓国には北朝鮮の「不合理な野心」を食い止める十分な武器があると主張。核能力の開発は「正しい道」ではないとの見方を示した。
韓氏は「我々は米国と緊密に連携して、極めて十分な水準の抑止力を構築してきた」と述べ、昨年の尹錫悦(ユンソンニョル)大統領の就任以来、政府は抑止力強化を「多分に強調してきた」とも語った。
「我々は国際社会とも協力して、北朝鮮の非核化に向け引き続き大きな圧力をかけるべきだ」「核能力を開発・強化しても平和や繁栄が保証されないということを北朝鮮が悟れるようにしたい」(韓氏)
北朝鮮が兵器計画を強化し、昨年は記録的な数のミサイルを発射する中、南北関係は悪化している。昨年はミサイルのうち一発が5年ぶりに日本上空を飛び、国際的な警戒感が高まった。
米国や国際的な監視者は数カ月前から、北朝鮮が2017年以来となる地下核実験を準備している様子が見受けられると警告している。金正恩(キムジョンウン)総書記は昨年、語気を強めて「世界でも最も強力な」核部隊を創設する方針を宣言。北朝鮮が「現実の戦争」に完全に準備を整えていると敵対国に警告し、核兵器は「決してあきらめない」と述べて非核化協議の可能性を切り捨てた。
米国やその同盟国の韓国や日本はこれを受け、軍事演習や協力を進めた。北朝鮮への強硬姿勢を公言する尹氏は、韓国が自国の核兵器を製造する見通しまで示し、今年1月には「戦術核兵器の配備か自国の核兵器所有」の可能性に言及した。
韓氏はそうした計画には反対を表明しているが、それでも韓国は核武装する隣国と対峙(たいじ)する準備を整えていると強調する。一方で、一定の条件下で協議に応じる姿勢も示している。
「我々は北朝鮮に相対するなかで自らの武装を解くことはしない」「だが、我々は北朝鮮との対話のチャンネルを閉じもしない。北朝鮮が非常に強力な核の野望を控えている限りはだ」(韓氏)