ドイツ、原子力から脱却 国内最後の原発3基を停止
(CNN) ドイツは15日、国内に残る最後の原発3基の稼働を停止する。これは60年以上にわたって続いた同国の原子力の時代が終わりを告げることを意味する。
原子力は長年ドイツ国内で論争を呼んできた。
原子力への依存を断ち切りたいと考える人々はこれを持続不可能で危険なものとみなし、再生可能エネルギー推進の妨げになると主張する。
他方、原発の閉鎖は近視眼的だと考える人々もいる。彼らにとって原子力は、地球温暖化ガスの大幅な排出削減が求められる現状にあって、 信頼のおける低炭素エネルギーと映る。
エネルギー危機が叫ばれる中、こうした議論が繰り広げられているにもかかわらず、ドイツ政府の姿勢は揺るがなかった。
環境・消費者保護相を務める緑の党のシュテフィ・レムケ氏はCNNの取材に答え、「ドイツ政府の立場は明確だ。原子力はグリーンではなく、持続可能でもない」「我が国はエネルギー生産の新時代に入っていく」と述べた。
ドイツでは1970年代に強力な反原子力の運動が起き、スリーマイル島やチェルノブイリ、福島第一原発の事故などを通じて、その機運は高まっていった。
しかしロシアによるウクライナ侵攻を契機にロシア産天然ガスの輸入が途絶え、エネルギーの安全保障に対する懸念が高まると、情勢は変化。政府は昨年12月、前出の原発3基の稼働を停止する計画の延期を余儀なくされていた。
以降、脱原発の再考を促す声も上がったが政府は最終的にこれを退け、4月15日以降の原発稼働を行わない方針で合意した。