収監中の元議員、生中継カメラの前で射殺 インド
アティク元議員は長年、裏社会とのつながりが知られていた。貧しい家庭に生まれ、17歳で殺人の罪に問われながら、10年後には州議会議員に当選。1984~2004年の5期にわたって続投し、さらに09年まで国会議員を務めた。この間、政治を犯罪に利用し、殺人や強盗、恐喝などの罪を重ねながら、実権を握るボスのような座にのし上がったとされる。
CNN提携局によれば、元議員が06年の事件で誘拐した人物は、自身が容疑者になっていた05年の殺人事件の目撃者だった。この人物は今年2月に殺害され、元議員の息子に主犯の疑いがかけられたが、その息子は元議員が死亡する1週間前、警察に射殺された。
ロイター通信は、ウッタルプラデシュ州の警察が過去6年間に、180人以上の容疑者を殺害してきたと伝えている。
州警察の元責任者は、元議員兄弟が取材陣に囲まれた現場で、警察の警備態勢に不備があった可能性を指摘した。
ウッタルプラデシュ州では現在、国政与党のインド人民党(BJP)が政権を握っている。事件を機に、野党から「BJPがインドをマフィア共和国にした」「州の法と秩序は完全に崩壊した」と、批判が集中した。
元議員がかつて所属していたサマジワディ党の元州首相も、BJP政権になって治安が悪化したと主張。「警察が護衛していた人物が公然と射殺されるなら、一般市民の安全はどうなるのか」とツイートした。