ローマを拠点とする政治リスク専門コンサルタント会社「ポリシーソナー」を創業したフランチェスコ・ガリエッティ氏はCNNに、「首相の最大関心事は移民と欧州連合(EU)だが、それ以上に首相を脅かす問題が他にもある」と語った。
「メローニ首相が移民問題でつまずくことはないだろう。だが中国の一帯一路から撤退しない限り、ホワイトハウスに招かれることはないだろう」(ガリエッティ氏)
だが、全員が首相の移民政策を認めているわけではない。
ローマのグイド・カルリ社会科学国際自由大学政策大学院のディレクターを務めるジョバンニ・オルシナ氏はCNNに、「これは非常に深刻な問題だ。首相が直面している最も関連した危機であり、政権にとっても喫緊の課題だと思う」と語った。首相は欧州に圧力をかけつつ、国内政策に力を入れることで、二つの方面から移民問題に取り組んでいると付け加えた。
オルシナ氏によれば、大半のイタリア人はいまだに移民問題を直接影響がある問題ではなく、報道の中の問題としてとらえている節があるという。
「移民がニュースで報道されなくなり、自分たちの近所の出来事になったタイミングが転換期だ。イタリアの小さな町の街角や広場で移民を見かけるようになってはじめて、抽象的な問題ではなく実在するものになる」(オルシナ氏)
不定期に欧州に押し寄せる移民流入をめぐっては、EUでも長年意見が対立してきた。
移民政策研究所(MPI)欧州支部のハナ・ベイレンス所長はCNNに、欧州行きの旅の最終段階で移民船を阻止しても問題の徴候に対処しているだけで、問題そのものの解決にはならないと語った。
「メローニ首相が船を止められるかと尋ねれば、専門家の答えは、いいえだろう」と所長は言い、移民流入を食い止めたのは新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)だけだったと付け加えた。
欧州に向かう早い段階での亡命申請の機会提供や、移民・難民がもっとも多く出ている国の問題解決など、根幹の問題にどう対処するか欧州の意見がまとまらない限り、移民は今後も続くだろうとベイレンス所長は言う。