ウクライナの反転攻勢、「始まっている」とプーチン氏 成功していないとも主張
(CNN) ロシアのプーチン大統領は9日、ウクライナ軍による反転攻勢について、既に始まっているものの、ここまで成功はしていないと主張した。
ロシア南西部のソチで開かれた会合の際に述べた。その中でプーチン氏は「絶対に間違いのないこととして断言できる。反転攻勢は始まっている」「戦略予備軍の使用から明らかだ」と強調した。
その上で「断言できるのは、あらゆる反転攻勢の試みがこれまでは失敗に終わっているということだ」と指摘した。ただウクライナ軍には依然として攻撃能力が残っているとも示唆した。同氏が発言する動画は、ロシア国営メディアがSNSテレグラムで共有した。
プーチン氏はまた、「ウクライナ軍は自分たちに割り当てられた任務を達成できていない。主要な作戦区域のいずれにおいてもだ。このことは火を見るよりも明らかだ」と語った。
ウクライナ軍は南東部の都市ザポリージャに向かう前線に沿って、行動を強化しているとみられる。ただ実際の戦況を把握するには時期尚早で、ウクライナがどの程度の圧力で前進を試みているのかも不透明だ。ウクライナ政府は反転攻勢についておおむね口を閉ざしているが、当局者らはかねて公式の発表を行わない意向を明らかにしている。
ザポリージャ州からドネツク州にかけての前線の戦況を巡っては、ロシア側から優勢を示唆する発言が相次いでいる。
ロシアのショイグ国防相は8日、ウクライナ軍の第47機械化旅団が兵員と武器で甚大な損害を被ったと発表。4つの個別の試みでロシア軍の戦線の突破を図ったが、すべて失敗したと述べた。
ウクライナ側の当局者らは戦況について依然沈黙を守っているが、ゼレンスキー大統領は8日夜の演説で、「非常に厳しい戦い」との認識を示した。
一方、ロシア政府支持の立場をとるロシア人ブロガーのセミョーン・ぺゴフ氏は9日午前、ウクライナ軍がロシアの支配地域にあるトクマクに向け前進したと報告。ロシア軍は非常に深刻な状況に直面していると分析した。
CNNはロシアの当局者やロシア人ブロガーの主張を独自に検証できていない。ただ当該の前線で部隊を指揮するウクライナ軍の司令官は、同軍が大規模な領土奪還の試みを開始したとする見方を否定。現行の行動はあくまでも「威力偵察」だと位置づけた。これは敵の防衛の弱点を探し出し、その即応能力を試すことを目的とした作戦行動を指す。