処理水放出に消えない懸念、塩や海産物の買いだめ広がる 韓国
ソウル(CNN) 韓国各地のスーパーマーケットで、塩が陳列棚から姿を消した。
韓国では1カ月ほど前から買い物客が大量の塩を買いだめするようになり、塩不足が深刻化している。この状況は、東京電力福島第一原発の放射性物質を含んだ水の処理水の放出を前に、国民の不安が高まっていることを物語る。
日本政府や国際原子力機関(IAEA)は、処理水の放出は安全で、国際基準を満たしており、米国を含む世界各国の原発がやっていることとも一致すると強調している。
それでも韓国など近隣国の不安は消えない。韓国の漁師は自分たちの生活が危険にさらされると訴え、住民は汚染を恐れて食料を蓄えている。中国は日本の特定地域からの食品輸入を禁止している。
CNNが取材した韓国の首都ソウル市内のスーパーマーケットは、ガーリックパウダーやチリペーストなどが豊富に並ぶ調味料売り場で、塩の陳列棚だけが空になっていた。貼り紙には「塩は在庫切れ。パートナーの状況のために塩の入荷が遅れています。ご不便をおわびします」と書かれていた。
ロイター通信は6月、韓国ではノリやワカメ、アンチョビといった海産物の買いだめも始まったと伝えていた。
政府は塩の価格を安定させるため、塩の備蓄放出を迫られた。同国の塩製造業協会によると、4月以来、塩の価格は40%以上急騰。政府によると、天候不順も塩の生産に影響を与え、価格を押し上げる一因となった。