燃料不足で給水できず、汚水や海水を飲むガザ住民
数十年前から続く危機
ガザ地区の住民にとって、清潔な水の確保は依然から最も深刻な問題のひとつだった。140平方マイル(約363平方キロメートル)の地域は、地球上でもとくに人口密度が高い場所となっている。
ガザの水源は主に三つ。淡水化施設、イスラエルから購入した水を運ぶパイプライン、地下水をくみ上げる井戸だ。
ガザの水の大半は、エジプトのシナイ半島からイスラエルまで地中海東岸沿いに広がる地下水、沿岸帯水層を水源とする。
海水で塩辛く、未処理の排水や不純物で汚染されているため、約97%は飲用に適さない。
増え続けるガザの人口を賄うため、帯水層は過剰に取水されてきた。毎年自然に補充されるよりも2倍以上の量が取水され、淡水レベルは減少し、地中海から海水が侵入している。
気候変動も影響を及ぼしている。海面上昇は地下水の塩分濃度を上げることになる。頻発する猛暑や干ばつといった異常気象もますます激化し、水資源を脅かしている。
イスラエルがガザの水道システムを管理していることも、状況をさらに悪化させているとホール氏は言う。とりわけ問題になるっているのが、ガザ地区への供給が認められる部品だ。
「二重用途」とみなされる物品、つまり軍事目的に転用される可能性のある物品をガザに持ち込むには特別な許可がいる。「ヨルダン川西岸にせよガザにせよ、建設作業は水道インフラの面で極めて困難だ」(ホール氏)
戦争が勃発する以前でさえ、専門家の間では水問題が「将来的に大惨事となる」と予測されていたという。
「屈辱的な扱い」
危機がさらに深刻化する中、ガザの人々には逃げ場がない。水不足は世界各地の紛争地帯で起きているが、現実として大勢がその場をその場を立ち去っているとホール氏は言う。「水が枯渇すれば移動する。ガザ市民にはそれができない」
ガザ地区南部の街ハンユニスにあるUNRWA難民キャンプで生活するハイサム・ハッサーンさんにとって、耐え得られない状況になりつつある。家族の衣服を洗濯することも、子どもの身体を洗うこともできない。水がない上、燃料も「完全に打ち切られた」とハッサーンさんは言った。
「私たちは屈辱的な扱いを受けている」とハッサーンさんはCNNに語った。「服も、髪も、身体もぜんぶ汚い」
「どこに行けば水が手に入るのか」