ウクライナのEU加盟、欧州委員会が交渉開始を勧告
(CNN) 欧州連合(EU)の行政執行機関「欧州委員会」は8日の報告書で、1年半近く前に加盟候補国に認定したウクライナについて、加盟交渉を開始すべきだと勧告した。同じ報告書でウクライナの隣国モルドバとの交渉開始も勧告した。
欧州委員会は、本格的な交渉は来年始めるべきだとしている。
フォンデアライエン欧州委員長は同日、「きょうは歴史的な日だ。なぜなら欧州委員会はきょう、欧州理事会にウクライナ、モルドバ両国との加盟交渉開始を勧告するのだから」と述べた。
ウクライナは10年以上にわたってEU加盟を強く希望してきた。2013年後半には、当時のヤヌコビッチ大統領がEUとの貿易協定を破棄してロシア接近にかじを切ったことで、街頭デモが勃発。最終的にヤヌコビッチ氏は失脚し、14年3月にロシアがクリミア半島を違法併合する事態になった。EUおよびNATO加盟をめざす方針は19年から正式にウクライナ憲法の一部になっている。
ウクライナのゼレンスキー大統領と握手を交わす欧州委員会のフォンデアライエン欧州委員長=5月9日、ウクライナ・キーウ/Sergei Supinsky/AFP/Getty Images
ウクライナのゼレンスキー大統領はロシアによる侵攻直前の22年2月、EU加盟を申請した。ゼレンスキー氏は今回の発表を歓迎し、「きょう、ウクライナと全欧州の歴史は正しい一歩を踏み出した」「あらゆる困難が待ち受けているが、我々は前に進む」などと述べた。
交渉開始の決定はゼレンスキー氏がめざすEU加盟への道の重要な一歩だが、一連の条件が満たされるまで交渉は始まらない。ウクライナは現在戦争中で、こうした条件が近いうちに満たされるかどうかは不透明だ。その可能性は低いとみられる。
また、ウクライナは交渉開始などに関するEUの提案を歓迎したものの、勧告には幾つかの注意書きが付いている。とくに汚職対策問題を巡る内容は、ウクライナが現時点で受け入れるのは難しそうだ。