パレスチナ人の大多数、イスラエルに戦争仕掛けたハマスを支持 政治的解決は見えず
ただ、シカキ氏によると、現状ではハマスの方が高い支持を得ているものの、10月7日のハマスによる残虐行為の現実を知るパレスチナ人が増えれば、見方が変わる可能性もある。
ハマスが10月7日に犯した残虐行為の映像を見たという人は、ガザ地区では25%だった。同地区の全回答者のうち16%はハマスが戦争犯罪を犯したと答えている。一方、西岸でこの映像を見た人は7%、戦争犯罪だと答えた人は1%だった。
ガザ地区で戦争後もハマスによる統治の復活を望むという住民は、現状でも38%にすぎない。
イスラエルによる占領を終わらせる唯一の方法はイスラエルに苦痛を与えることだとパレスチナ人が信じている現状の中、ハマスは最も効果的に暴力を実行できる政党とみなされているとシカキ氏は解説する。
一方で、「もしも交渉を通じてイスラエルの占領を恒久的に終わらせ、パレスチナ国家を樹立する選択肢をパレスチナ人に与えれば、ハマスに対する支持は恐らく低下して、戦争前を下回るだろう」とシカキ氏は言う。
2国家解決の支持率は、ガザ地区でもヨルダン川西岸でもここ3カ月は32%~34%と低迷しており、過去に比べると低い水準にある。PCPSRの過去の世論調査では、独立国家パレスチナとイスラエルの共存を70~80%が支持していた。
米国のジョー・バイデン大統領は交渉を重視してイスラエルとパレスチナを説得したい意向で、先月は「2国家解決が実現するまで(この紛争は)終わらないだろう」と発言していた。問題は、パレスチナ人が米大統領を信じていないことにある。パレスチナ国家樹立に関する米国の発言を真剣だとは思っていないという回答は70%に上った。
「あれだけの力を持っていながら、イスラエルに対する影響力は行使できないという相手を人々は信じない。だから、2国家解決はリップサービスにすぎず、それを実現させる意図は全くないと判断している」とシカキ氏は指摘した。