病院から退避の民間人射殺、ガザの医師が証言 国境なき医師団もイスラエル非難
(CNN) パレスチナ自治区ガザ南部ハンユニスにあるナセル病院の医師らが14日、同病院から脱出を試みた民間人多数がイスラエルの狙撃兵に射殺されたと証言した。
銃撃を目の当たりにしたという同病院の外科医は、13日に少なくとも2人が狙撃されて死亡し、多数が負傷したと話している。
イスラエル国防軍(IDF)は同病院のスタッフや患者に退避を命じ、民間人が脱出するための「安全なルート」を確保したとしていた。
しかし13日、このルートを通って脱出しようとした少なくとも8人が銃撃されたという。
同病院は少なくとも3日間にわたって激しい爆撃を受けていたと外科医は説明。負傷者のうち16歳の少年は病院の入り口で4発の銃弾を浴びたという。
ナセル病院はガザ地区で今も機能している最大の病院。国際医療支援団体の国境なき医師団は、同病院からの退避を命じたイスラエル軍を非難した。
国境なき医師団のスタッフは、14日も「ほぼ不可能な状況の中で」患者の治療を続けているという。
周辺では何週間にもわたって激しい戦闘が続き、スタッフや患者、避難者が病院に閉じ込められた状態の中、必需品の不足が深刻化している。
「人々はあり得ない状況に追い込まれている。イスラエル軍の命令に反してナセル病院にとどまり標的となるか、それとも病院を出て爆撃や避難命令が日常と化した滅亡的な地へ行くか」。国境なき医師団はそう指摘し、「病院は安全とみなされるべき場所であり、そもそも退避させられることがあってはならない」と訴えた。
北部は壊滅状態となり、南部で激しい攻撃が続くガザ地区に安全な場所はない。「『どこへ行けば安全なのか』と尋ねられても答えはない。それが絶望感につながっている」(国境なき医師団)