英原潜、核ミサイル試射に失敗 過去8年で2度目 米南部沖
ロンドン(CNN) 英国防省は21日、核弾頭搭載可能な潜水艦発射弾道ミサイル「トライデント2」の発射実験を米フロリダ州沖合で実施し、失敗したとの声明を発表した。
原子力潜水艦「バンガード」が先月30日に実施したが、作業を進める上で「異常」が起き、失敗したと述べた。同省報道官は声明で、「今回の実験に特有な不具合である」とし、「トライデントミサイルや保管する分のより広い意味での信頼性に影響を及ぼすものではない」と主張した。
同ミサイルの実験失敗は過去8年間で2度目。前回はこれもフロリダ州沖合で2016年6月に実施されたという。今回の失敗については英紙「サン」が最初に報じた。
関係筋はCNNの取材に同紙の報道内容は正確と指摘。バンガードの乗組員は実験用の模造の弾頭を載せた同ミサイルの演習の手はずをそつなく進め、空中に発射させたとしながらも、ミサイルの初段の点火が果たせず、海面に落下したと明かした。
関係筋は、失敗は実験に関連する装置に根差すものだったとし、本物の核弾頭を使った場合なら点検にも抜かりはなかっただろうし成功していたはずと述べた。
英国防省は、シャップス国防相が今回の実験に臨んだバンガードに乗り込んでいたことを確認。キー海軍参謀長も同乗していたという。
国防省の声明は、英国の核抑止力の安全性や有効性に変わりはないとも断じた。英下院の議事録によると、核抑止力の維持に充てている費用は23~24年の国防費のうちの6%と推定されている。
英国が保有する弾道ミサイル搭載可能な原潜は4隻。いずれも米国製のトライデント2ミサイルの装備が可能。同ミサイルの射程距離は最長で4000マイル。バンガード級原潜は早ければ30年代の初期、ドレッドノート級の新型4隻と入れ替わる予定となっている。