戦争で役割急変のウクライナ人女性たち、機銃射手から列車修理まで
ウクライナでは新たな徴兵制度が近く打ち出される見通しで、企業主などは別の問題に直面することになる。男性が新規に入隊すれば、働き手が減り、どうやって穴埋めするかの課題だ。代替の戦力とあてにもする女性も数十万人規模が国外へ逃れている現状もある。
ウクライナ国立銀行によれば、現在全国の企業主らは熟練した技量を持つ従業員約6万人の不足に直面している。21年以降で職場を離れた必要な人材は約2万人増えた計算となっている。
これら労働力の足りない分をしばしば補っているのが女性だ。ウクライナの多数の企業などは、男性の受け持ちとこれまで見なされてきた職務の一部に女性を充てるための職業訓練も提供している。
女性のハリーナ・シェフチェンコさんはウクライナ北東部ポルタバ州にあるウクライナ国鉄の修理部門で働いている。ロシアの侵攻前は車両の複雑な部分を修復する男性10人から成るチームを率い、工程などを監督していた。仲間2人がその後、軍に入った。
2人は特殊な技能が求められる作業を担っていたため、補充は難しかった。シェフチェンコさんは自らがこの役目を引き受けることを決め、今ではその作業の一部をこなすまで腕を磨いた。
ウクライナ国鉄の従業員のうち女性は40%を占める。男性が戦場へ赴いた後、空白となった処理すべき職務への従事に応じた女性はシェフチェンコさん一人だけではないだろう。
CNNの取材に応じたウクライナ国鉄によると、軍役に就いた職員は19万人のうちの1万200人。うち命を落としたのは抗戦が始まった以降、600人となっている。一方で、国鉄はロシア軍の攻撃による民間航空路線や黒海の海路がほぼ遮断される中で、国内のかけがえがない輸送手段として列車を依然走らせている。
国鉄はまた、ウクライナ軍の作戦遂行に役立つあらゆるサービスも提供。負傷兵を運ぶための列車も運行している。
ウクライナ最大の農産物製造・輸出企業「カーネル」も人員不足の解決策への模索を始めた。CNNの取材に同社の人事担当部門の責任者は男女の労働力市場が手薄な中で、入社希望者の資格の要件を下げ、基本的な職業訓練事業も導入したと説明。訓練には戦争前に女性が避けがちだったボイラー操作業務も入れたという。